脊髄損傷の後遺障害
脊髄とは、脳から脊柱(背骨)の中を通る中枢神経で、脳の指令を体の各部分に伝達する重要な役割を持っています。交通事故では、体への衝撃で、脊髄が損傷してしまう場合があります。脊髄は、その役割の重要性から、損傷度合次第で、非常に重い症状になることも多いです。
脊髄損傷の分類
脊髄損傷の2分類
完全損傷脊髄が完全に損傷し、損傷箇所を通っていた情報伝達が途絶え、脳からの命令が届かなくなり、脳への情報伝達も途切れてしまいます。よって、損傷箇所以下の部分は麻痺状態となり、動かしたり、感覚を認識することができなくなってしまいます。多くの完全損傷は、脊柱の脱臼、骨折によって発生します。
不全損傷脊髄の一部が損傷した状態です。「一部」に損傷程度の幅があり、比較的軽傷(一定程度運動機能が残っているもの等)から、重症になるケース(感覚知覚機能だけ残るもの等)まで様々なものが含まれます。また、脊髄損傷では下肢(下半身)が重症になりやすいですが、下肢よりも上肢(上半身)が重症になりやすい中心性脊髄損傷も不全損傷に含まれます。不全損傷の原因は、脊柱の骨折や脱臼といった比較的わかりやすいものでないことも多く、初期の診断では見過ごされることもあります。いずれの損傷でも、脊髄は一旦損傷すると完全には回復しないため、一生涯介護が必要になる例も多く見られます。そのため、事故後の生活を安定させるために、適正な等級認定を得て、適正な賠償金を受け取ることが必須です。
等級認定のために
適正な等級認定を得るには、後遺障害が脊髄損傷によることを証明せねばなりません。そのためには適切な時期に撮影された高次CT画像やMRI画像などの画像、医師が診察して作成した後遺障害診断書や神経学的所見などの資料を用意したうえで、等級認定を得る手続を進める必要があります。また、脊髄損傷は画像上でその原因が確認できる場合も多く、等級認定の際には、画像を見た上での所見が特に重視されます。特に不全損傷だと、適切な時期に撮影を行わないと、損傷個所が画像上からはわからなくなってしまう場合もあるため、資料を用意するために動くタイミングが重要となります。MRI画像も、通常の0.5ステラのものでは症状が写らないが、3ステラのものであれば症状を写すことができるという場合もあります。交通事故による脊髄損傷の可能性がある方は、後遺障害等級や賠償金を適正に獲得するためにも、少しでも早く交通事故に詳しい弁護士にご相談されることをお勧め致します。