高次脳機能障害の後遺障害
交通事故で頭を強く打ってしまった場合には、擦り傷や切り傷といった外見からわかる傷だけでなく、頭の中や脳にまで衝撃が届き、脳挫傷やくも膜下出血、びまん性軸索損傷といった怪我が発生することがあります。
もしも交通事故遭った後から、過去のことを思い出せない、思い出しにくくなった、よく使う一般的な言葉(「道路」や「自動車」など)が出てこない、感情の起伏が激しくなって不安定になった、集中力や注意力が低下してしまった、といった状態になった場合は、高次脳機能障害が発生している可能性が考えられます。
高次脳機能障害は、その状態だけを見ると、体調不良や一時的な不調だとしても不自然でないものも多いため、見逃されることがあります。しかし、高次脳機能障害は、脳外科やリハビリに通うなどして、症状を軽減できる可能性があり、治療を継続しても症状が改善しない場合は、後遺障害となる可能性があります。
高次脳機能障害の認定基準
高次脳機能障害の認定基準
1級 1号(要介護)
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
2級 1号(要介護)
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
3級 3号
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
5級 2号
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
7級 4号
神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
9級 10号
神経系統の機能または精神に障害を残し、服することが出来る労務が相当な程度に制限されるもの
等級認定のために
高次脳機能障害は外見上から判断ができる障害ではありません。そのため、適切な等級認定を得るためには、これを証明するために様々なテストを受けたり、様々な画像を撮る必要があります。中には高度な検査や器材もあるため、それが可能な病院の選択が必要です。一方でご本人の状態や事情によっては、どうしてもできない項目もあります。また、転院や施設への入所から長期間が経過し、転院前の病院に検診を断られるといったこともあります。
当事務所では、事故に遭われた方が適切な治療を、治療後のに症状が残った場合には適切な等級認定を受けられるように、事故直後からサポートさせて頂いております。
以下はその一例です。
- 病院から転院を勧められた場合に、転院先を選ぶのに立ち会う
- その時ごとの症状を常に知っておくために、病院に積極的に伺う
- 後遺障害診断書を作成する際に、医師と交渉して考え得る限りのテストや画像撮影を行ってもらい、等級認定のための資料を確保する
事故後の早い段階から、被害者の方だけでなく、医師とも関わることによって、治療や等級認定のために先々必要になる前準備を前もって行うサポートをしてまいります。
なお、高次脳機能障害が疑われる症状は、目や鼻、耳などの障害と症状が重複することがあります。このような場合は、それぞれの障害に即した診察、検査を受けて症状の原因を判断する必要がありますので、お早めに医師や弁護士にご連絡ください。
ご自身、もしくは身近な方に、少しでも高次脳機能障害かもしれないと思われる症状がありましたら、まずは遠慮なく高次脳機能障害に詳しい弁護士にご相談することをお勧めします。