転院の過誤
医療機関には、患者が医師の専門外であったり、その医療機関の設備や人員では、当該疾患に対して、十分な治療ができない場合、当該疾患に適した治療が可能な医療機関に、患者を転送する義務があります。
裁判例では、「医師が診療の過程で、患者の具体的症状経過上、自らの専門ないし医療技術ないし設備に照らし、検査及び医療措置について限界を認める場合には、診療の必要上これを他の十分な医療設備等のある病院に転送し、その機関により当該疾患に対する医学・医療水準下の診断、治療を受けさせる義務がある(大阪高裁昭和58年2月9日判決)」としたものがあります。
医療機関が、このような転送義務に違反した場合、医療機関に損害賠償責任が発生する可能性があります。