手術の過誤
1. 手術中の血管損傷
まず、その手術で血管を損傷したといえるのか確認する必要があります。
また、手術によって血管を損傷したからといって、直ちに医療機関に賠償責任が認められるわけではありません。
①術式の選択は適切であったか ②手技は適切であったか等が問題になります。
特に、②については、通常の手順で手術が行われたとしても、不可避的に血管を損傷してしまうことがあり、このような場合は、血管損傷があったとしても医療機関に過失を問うことは難しくなります。
手術中の過誤については、適切な手技がなされたのか、顧問医の意見も参考にしながら検討していくことになります。
2. 縫合不全
縫合不全とは、手術で縫合した部分の接着が十分でなく、縫合部が開いてしまうことをいいます。消化管で縫合不全が発生すると、消化管の内容物が漏れ、重篤な感染症を引き起こしてしまいます。
縫合不全の原因は様々であり、縫合不全が発生したからといって、必ず医療機関の過失が認められるというわけではりません。
縫合不全では、手技上の過失があったか、術後管理に過失がなかったかということが問題となることが多いです。