全国対応新規相談予約ダイヤル
0120-920-746
平日9:00~18:00

(1)肝細胞がんの見落とし

肝細胞がんは、その発症についてハイリスク群(B型慢性肝炎、C型慢性肝炎、肝硬変等の既往がある患者)とそうでない患者とで、発症リスクが大きく異なるとされています。

そのため、肝細胞がんの見落としについて医療機関に過失(注意義務違反)が認められるか検討するには、当該患者がハイリスク群に該当していたのか、否かで分けて考える必要があります。

ハイリスク群に該当しない患者の場合、肝細胞がんの見落としについて、医療機関に注意義務違反が認められるためには、検査結果や診察の結果から、肝細胞がんを疑わせる要素が存在することが前提となります。ハイリスク群に該当しない患者の事例として、東京地裁平成8年10月31日判決は、「医師ないし医療機関(以下「医師等」という。)は、診療契約に基づき、又は専門的職業人として、患者に対し、当時の医療水準に則って、症状の医学的解明とこれに基づく適切な指示、指導及び治療行為(以下この意味で「診療」という。)をすべきであるという義務を負っており、また、診察の結果などから、異常を疑わせるような状況が生じた場合には、検査義務や転医義務を負う場合もある」とし、肝腫瘍の徴候である疑いの高い胸のしこりを訴える患者が血液検査で異常値を示し、肝臓の異常を疑ったにもかかわらず、触診を怠り、精密検査のための転医措置も講じなかった内科医は診療契約上の注意義務を怠ったものというべきである旨判示しています(もっとも、注意義務違反と患者の死亡との間の因果関係は否定し、適切な診療を受ける機会が奪われたとして、患者側に150万円の慰謝料のみが認められた事例になります。)

ハイリスク患者に該当する場合、医療機関がそのことを認識していた場合は、医療機関としては、一定の頻度でスクリーニングを行うべきと考えられており、適切な時期にスクリーニング検査を行わず、肝細胞がんの発見が遅れた場合、医療機関に注意義務違反が認められる可能性があります。ハイリスク群に該当する患者の事例として、札幌地裁平成17年11月18日判決は、「肝癌のハイリスクグループに対しては、少なくとも3か月に1度の腹部超音波検査を行うことが一般的となっており、また、AFP及びPIVKA-Ⅱの腫瘍マーカー検査についても、肝癌のハイリスクグループに対しては、1から2か月毎に行われることが一般的となっていたことが認められる。
これらのことからすれば、医療機関は、患者に対して、平成11年当時の医療水準として、AFP及びPIVKA-Ⅱの腫瘍マーカー検査については、少なくとも2か月に1度、腹部超音波検査については、3か月に1度の頻度で行う注意義務を負っていたと認められる。(一部修正)」と判示し、適切な時期に検査を行わなかった医療機関の過失を認めています。

弁護士による法律相談 (交通事故は無料)

0120-920-746
メールでのお問い合わせはこちら

事前にお電話にて相談日のご予約をお願い致します。
傷害事故に遭われた方を一人でも多く救いたいと思っております。些細なご質問でも構いませんので、お電話下さい。
交通事故・損害賠償・後遺障害など、交通事故に関する法律相談は無料です。
交通事故に関する相談は、着手金0円、相談料金0円ですので、まずはお気軽にご相談下さい。