2023年11月21日
2023年11月21日
弁護士
木下 一達
交通事故の相談対応をしていると、次のようなご相談が少なくありません。「ムチウチで3ヶ月間治療した。実治療日数は25日間。保険会社からは、最終的な慰謝料として25万円を支払うと言われている。保険会社はこの25万円は自賠責保険の支払額を下回ることはないと言っている。自賠責保険の傷害分は120万円だから、25万円では全然足りないではないか」
ご指摘のとおり、自賠責保険の傷害分の限度額は120万円ですが、これは120万円が全額支払われるということではありません。自賠責保険の基準で計算した賠償金が、120万円を限度で支払われるという制度になっています。自賠責保険においては、通院慰謝料は日額4300円です。これに、実通院日数の2倍の日数と通院期間を比べて、少ない方の日数をかけて通院慰謝料を計算します。上記のご相談では、実治療日数の2倍が50日、治療期間が3ヶ月(90日)ですから、通院慰謝料は4300円×50日で21万5000円となります。これが自賠責保険基準の慰謝料ですので、保険会社の提示額25万円は自賠責保険基準の慰謝料を上回っていることになります。
自賠責保険の傷害分120万円は、あくまで上限であるということにご注意ください。