ロードレース中の事故(主催者に対して責任の追及ができるか)
ロードバイクでロードレースに参加したものの、コースに障害物があり、それに接触して転倒・負傷したという場合、大会主催者に対して、治療費や慰謝料等の請求はできないのでしょうか。
ロードレース大会主催者は、大会を実施し、参加者に競技させる義務を負うだけでなく、参加者の生命・身体の安全に配慮して大会を運営する義務も負っています。これを安全配慮義務といいます。
安全配慮義務を尽くしたというためには、どの程度のことをしておけば良いのかという点については、大会の規模、参加者の属性等によって異なってきますので、画一的な判断は難しいです。
ただ、ロードバイクの競技時の速度は時速50キロメートルを大きく超えることもありますので、コース上に障害物が存在した場合、これを回避することは困難ですし、衝突した場合は大けがにつながることが容易に予見できます。そうすると、大会主催者としては、コース上の障害物を撤去するなどして、参加者が安全に競技できる状況を維持する安全配慮義務を負っていると解されます。
したがって、コース上に障害物があり転倒したという場合、大会主催者の安全配慮義務違反が認められ、大会主催者が賠償責任を負う可能性は高いといえます。
「主催者の責任を追及しない」という誓約書があっても大丈夫!?
ところで、ロードレースへの参加に際して、大会中の事故で負傷した場合、大会主催者に対して責任を追及しないとか、大会主催者は責任を負わないといった内容の誓約書や同意書に署名押印させられることがあります。
このような同意書や誓約書があるので、大会主催者に対して賠償請求することはできないのではと考えている被害者の方も少なくありません。
しかし、生命・身体といった重大な権利・利益について、大会主催者の責任を一切放棄するという内容の誓約書・同意書は、公序良俗に反するとして、多くの裁判例で、その効力が否定されています。
したがって、上記のような誓約書・同意書を差し入れてロードレースに参加した場合であっても、大会主催に対して損害賠償請求が可能です。
ロードレース中の事故で負傷した場合、加害者がいない転倒のような事例であっても、大会主催者に賠償請求が可能なケースもあります。ぜひ、一度ご相談ください。