姑によるモラハラの具体的ケース
嫁姑問題は、古くからあり、ドラマや小説でとりあげられることもあるように、広く知られている問題です。
もっとも、最近では、モラルハラスメント、いわゆる「モラハラ」の理解が深まるとともに、姑からの嫌がらせが「姑によるモラハラ」として、捉えなおされるようになってきました。
モラハラとは、言葉や態度によって、相手の人格を継続的に傷つけ、その苦痛や恐怖によって相手を支配し、思い通りに操ろうとする、精神的な暴力のことをいいますが、姑という立場を利用して、嫁に対して精神的な暴力がふるわれることがあります。
姑からのモラハラの例として、具体的には、
・「あなたは、何もできないのね」「頭が悪いわね」などと、あからさまに暴言を吐く
・会話をしているときに、夫とばかり話をして、その場にいる嫁(妻)のことを無視する態度をとる
・夫婦が住む場所や、子どもの教育について、過度に口を出す。自分が決めようとする
などのケースがあります。
夫が味方をしてくれない
姑からのモラハラについて妻が悩んでいるとき、夫が相談にのり、妻を守ってくれるような環境にあれば、妻の悩みはそれほど深刻になることもないでしょう。
しかし、多くの場合、妻が姑からのモラハラに悩んでいても、夫はその苦しみを理解せず、妻の味方になってくれることもありません。
妻が相談しても、
「それはお前が悪いんだろう」
「うまくやってくれ」
などと、妻にばかり責任を押し付けてくるケースも稀ではありません。
このように、夫が味方をしてくれない場合、姑からモラハラを受ける妻の苦しみは深くなります。
さらに、姑からモラハラを受けている妻は、夫からもモラハラの被害にあっている、というケースも多くあります。
モラハラは、身体的な暴力であるDV(ドメスティックバイオレンス)と同様に、親子間で連鎖する傾向にあることが知られています。
子どもは、家庭において、一番身近な存在である親の姿、行動を見て、それを規範として学んでいくため、親がモラハラ傾向にある場合、子どもにもその傾向が受け継がれてしまうケースがあるのです。
実際、離婚のご相談にいらっしゃる方の中には、夫と姑から、二重のモラハラ被害にあって苦しんでいる方が多くいらっしゃいます。
姑からのモラハラで離婚してもよい?
姑からのモラハラに深く悩み、離婚を考える方も多くいらっしゃいます。
姑からのモラハラは、その態様によっては、十分、離婚の動機になりうるのです。
では、姑からのモラハラを理由として離婚することは認められるのでしょうか。
協議離婚や調停離婚の場合、相手の合意があれば、理由にかかわらず、離婚することができます。
姑からのモラハラで、結婚生活を続けていけないほど悩んでいらっしゃる場合には、まず、離婚の協議をはじめてみることも一つの選択肢といえます。
もっとも、相手が離婚に合意しない場合、姑からのモラハラだけを理由として離婚することは難しいのが実情です。
その場合は、夫と別居するなどして、離婚が認められる条件を整えることが重要になります。
姑からの暴言に苦しまれている方へ
すでにご説明したように、姑からのモラハラのみを理由として離婚することは、相手の合意がないかぎり、むずかしいといえます。
相手が離婚に合意してくれない場合には、離婚するために、まず夫との別居を開始するという手段をとることができます。
一般的に、別居期間が3年程になると、婚姻関係が破綻したものと判断されて、離婚事由があると認められる傾向にあるためです。
また、別居した場合にも、夫婦間には、いわゆる婚姻費用を分担する義務があるため、通常収入の低い方から収入の高い方へと、毎月一定額の婚姻費用を請求することができます。
姑からのモラハラについて悩み、心身の状態が悪化してしまうケースもあります。
姑からの暴言などのモラハラに苦しまれている方は、お一人で悩まず、離婚の可能性、どのような準備をしていけばよいかなどについて、ぜひ、モラハラに理解ある弁護士にご相談ください。